AWS Auto Scalingは、アプリケーションの負荷に応じてインスタンスやリソースを自動でスケール調整する機能 です。本記事では、Auto Scalingの基本概念、実装方法、最適なスケール戦略について解説します。
1. AWS Auto Scalingとは?
AWS Auto Scalingは、負荷状況に応じてEC2インスタンスやECSタスクなどのAWSリソースの数を自動で増減させるサービス です。
Auto Scalingの主な特徴
✅ スケーリングを自動化し、コスト最適化を実現
✅ 急激な負荷の変化に対応し、システムの安定性を確保
✅ スケールイン(縮小)・スケールアウト(拡張)を柔軟に制御
✅ EC2、ECS、DynamoDB、RDSなど幅広いAWSサービスに対応
主なユースケース
- Webアプリのアクセス負荷に応じたEC2のスケール
- コンテナ環境(ECS, EKS)のタスク数を動的に調整
- DynamoDBのスループットキャパシティを自動管理
- RDSのリードレプリカ数を調整し、データベース負荷を分散
2. Auto Scalingの基本構成
AWS Auto Scalingは、以下の3つのコンポーネントで構成されます。
1. Auto Scaling Group(ASG)
- EC2インスタンスを管理し、スケーリングを自動化する単位
- 最小・最大・希望インスタンス数を設定可能
- EC2インスタンスが異常終了した場合、自動で置き換え
2. スケーリングポリシー(Scaling Policy)
- 負荷に応じてインスタンス数を増減させるルールを設定
- CPU使用率、メモリ使用率、リクエスト数などの指標を元にスケール調整
3. スケール対象のAWSリソース
サービス | スケーリングの目的 |
---|---|
EC2 Auto Scaling | WebサーバーやAPIサーバーの負荷分散 |
ECS Auto Scaling | コンテナのタスク数を自動調整 |
DynamoDB Auto Scaling | 読み書きスループットを動的に調整 |
RDS Auto Scaling | リードレプリカの数を調整 |
3. Auto Scalingの設定手順
1. EC2 Auto Scaling Groupの作成(AWSマネジメントコンソール)
- AWSコンソールで「EC2」→「Auto Scaling グループ」を開く
- 「Auto Scaling グループの作成」をクリック
- 起動テンプレートを選択(または作成)
- 最小・最大・希望インスタンス数を設定
- スケーリングポリシーを選択(ターゲット追跡、ステップスケーリングなど)
- ロードバランサー(ALB)との統合を設定(任意)
- 確認して作成
2. EC2 Auto Scalingの設定(AWS CLI)
aws autoscaling create-auto-scaling-group \\
--auto-scaling-group-name MyAutoScalingGroup \\
--launch-template "LaunchTemplateName=MyTemplate,Version=1" \\
--min-size 2 --max-size 10 --desired-capacity 3 \\
--availability-zones us-east-1a us-east-1b
3. スケーリングポリシーの設定(CPU使用率ベースのスケールアウト)
aws autoscaling put-scaling-policy \\
--auto-scaling-group-name MyAutoScalingGroup \\
--policy-name ScaleOutPolicy \\
--adjustment-type ChangeInCapacity \\
--scaling-adjustment 1 \\
--cooldown 300
4. Auto Scalingの最適なスケール戦略
1. 動的スケーリング(Dynamic Scaling)
- CloudWatchのメトリクスを基に自動スケール
- 例:CPU使用率が80%を超えたらインスタンスを追加
aws cloudwatch put-metric-alarm \\
--alarm-name HighCPUUsage \\
--metric-name CPUUtilization \\
--namespace AWS/EC2 \\
--statistic Average \\
--period 60 \\
--threshold 80 \\
--comparison-operator GreaterThanThreshold \\
--dimensions Name=AutoScalingGroupName,Value=MyAutoScalingGroup \\
--evaluation-periods 2 \\
--alarm-actions arn:aws:sns:us-east-1:123456789012:MyAlarmTopic
2. スケジュールベースのスケーリング(Scheduled Scaling)
- 時間帯や曜日に応じてスケール調整
- 例:ピークタイムにEC2インスタンスを増加、夜間は縮小
aws autoscaling put-scheduled-update-group-action \\
--auto-scaling-group-name MyAutoScalingGroup \\
--scheduled-action-name ScaleUpAtDaytime \\
--start-time "2024-07-01T09:00:00Z" \\
--desired-capacity 5
3. 予測スケーリング(Predictive Scaling)
- 機械学習を活用し、過去のトラフィックデータからスケールを予測
- AWS Auto Scalingの「予測スケーリング」機能を活用
aws autoscaling start-predictive-scaling \\
--auto-scaling-group-name MyAutoScalingGroup
5. Auto Scalingのベストプラクティス
✅ ターゲット追跡スケーリングを活用し、最適なリソース管理を実現
✅ スケジュールベースと動的スケーリングを組み合わせ、リソース効率を最大化
✅ 適切なクールダウン期間を設定し、不要なスケールイベントを防ぐ
✅ CloudWatchメトリクスを監視し、異常値を即座に検知
✅ ロードバランサー(ALB)と統合し、トラフィック分散を最適化
6. まとめ
AWS Auto Scalingを活用することで、システムの安定性を維持しながら、コストを最適化し、アプリケーションのパフォーマンスを向上 させることができます。
✅ 動的スケーリングで負荷に応じたスケール調整を自動化
✅ スケジュールベースのスケーリングを設定し、リソース利用を最適化
✅ ロードバランサーと組み合わせ、可用性を向上
次のステップでは、「Amazon Aurora(高可用性DB)の実践」について詳しく解説していきます!