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AWS CodePipeline徹底解説 超実用的CIとCD自動化ガイド

AWS CodePipelineは継続的インテグレーションと継続的デリバリーを実現するためのAWSが提供するマネージド型CI CDサービスです。本記事ではCodePipelineの基本概念から構成方法、実際の設定手順、最適化方法、ベストプラクティスまでを網羅的かつ実践的に解説します。

AWS CodePipelineとは

AWS CodePipelineとは、コードの変更を自動的にビルド、テスト、デプロイするパイプラインを簡単に構築できるサービスです。変更検知から本番環境へのリリースまでの一連の流れを自動化することで、開発スピードの向上とリリースミスの削減を実現します。

CodePipelineの主な特徴

  • CI CDパイプラインの自動化 ビルド テスト デプロイの各ステップをワークフローとして定義可能
  • 多彩な統合サービス AWS CodeCommit GitHub Amazon S3 AWS CodeBuild AWS ECS AWS Lambdaなどと標準連携
  • ロールバック機能 デプロイ失敗時には自動で直前の安定バージョンに復帰可能
  • 並列直列フローの柔軟な構成 大規模システムや複数環境対応にも最適
  • 手動承認ステップの追加 本番環境デプロイ前に人的確認を挟むことでリスクを低減

主なユースケース

  • Webアプリケーションの自動デプロイ AWS ECS EC2 Lambdaへのシームレスな配信
  • モバイルアプリケーションの継続的インテグレーションとリリース AWS CodeBuildとAmazon S3の組み合わせ
  • インフラリソースの自動更新と管理 AWS CloudFormationと連携したIaCパイプライン
  • マイクロサービスの個別デプロイ Kubernetes EKS Fargateを活用したマイクロサービス自動配信

CodePipelineの基本構成

CodePipelineは大きく三つのフェーズから構成されます。

ソースステージ Source

開発者が管理するコードリポジトリから変更を検知し、パイプライン処理を開始します。対応可能なソースはAWS CodeCommit GitHub Amazon S3 Bitbucketなどです。

ビルドステージ Build

AWS CodeBuildやJenkins GitHub Actionsなどのビルドツールを用いて、コードのビルドやユニットテストを実行します。

デプロイステージ Deploy

ビルドされた成果物をECS EC2 Lambda S3 CloudFormationなどのターゲット環境へ自動デプロイします。

AWS CodePipelineの設定手順

ここではAWSマネジメントコンソールおよびAWS CLIを利用した基本的なCodePipeline構築手順を説明します。

AWSマネジメントコンソールからの作成手順

  1. AWSコンソールでサービス一覧からCodePipelineを選択します。
  2. パイプラインを作成をクリックし以下の順序で設定します。
  3. ソースプロバイダーを選択します GitHubやCodeCommitなどから選びます。
  4. ビルドプロバイダーを選択します CodeBuildやJenkinsを利用できます。
  5. デプロイ方法を選択します ECS Lambda S3など目的に応じて選びます。
  6. 必要に応じて手動承認ステップを追加します。
  7. 設定が完了したらパイプラインの作成を実行し、ワークフローが自動で稼働を開始します。

AWS CLIを使った作成手順

事前にpipelinejsonファイルを作成し、以下のコマンドでパイプラインを作成します。

aws codepipeline create-pipeline --cli-input-json file://pipeline.json

pipelinejsonのサンプル ECSデプロイ構成

{
  "name": "MyPipeline",
  "roleArn": "arn:aws:iam::123456789012:role/AWSCodePipelineServiceRole",
  "artifactStore": {
    "type": "S3",
    "location": "my-pipeline-artifacts"
  },
  "stages": [
    {
      "name": "Source",
      "actions": [
        {
          "name": "SourceAction",
          "actionTypeId": {
            "category": "Source",
            "owner": "AWS",
            "provider": "CodeCommit",
            "version": "1"
          },
          "configuration": {
            "RepositoryName": "my-repo",
            "BranchName": "main"
          },
          "outputArtifacts": [
            {
              "name": "SourceArtifact"
            }
          ]
        }
      ]
    }
  ]
}

CI CDパイプラインの最適化

CodePipelineを単純に動かすだけでなく、ビルド速度や安全性を高める最適化が重要です。

ビルドの並列化とキャッシュ活用

AWS CodeBuildではローカルキャッシュを活用することでビルド時間を大幅に短縮できます。CLIでプロジェクトにキャッシュ設定を追加する例

aws codebuild update-project \
  --name MyBuildProject \
  --source "type=GITHUB,location=https://github.com/my-repo.git" \
  --cache "type=LOCAL, modes=[LOCAL_SOURCE_CACHE, LOCAL_DOCKER_LAYER_CACHE]"

手動承認ステップの追加

特に本番環境デプロイではヒューマンエラー防止のため、手動承認ステップを設けることが推奨されます。手動承認ステージの設定例

{
  "name": "ManualApproval",
  "actions": [
    {
      "name": "ApproveDeployment",
      "actionTypeId": {
        "category": "Approval",
        "owner": "AWS",
        "provider": "Manual",
        "version": "1"
      },
      "inputArtifacts": [],
      "outputArtifacts": []
    }
  ]
}

Blue Greenデプロイの実装

AWS CodeDeployと連携させることでECSなどへのBlue Greenデプロイが実現可能です。CLIでのデプロイ作成例

aws deploy create-deployment \
  --application-name MyECSApplication \
  --deployment-group-name MyECSDeploymentGroup \
  --deployment-config-name CodeDeployDefault.ECSAllAtOnce \
  --github-location repository=MyOrg/MyRepo,commitId=latest

AWS CodePipeline運用におけるベストプラクティス

  • IAM権限は最小限のアクセス権に絞り、セキュリティリスクを低減します。
  • 自動テストステージを必須とし、バグの早期検出と品質向上を図ります。
  • 可能な限りビルドとテストの並列実行を設定し、パイプライン全体のスループットを向上させます。
  • デプロイ失敗時にはロールバックできる設計と準備を整え、障害対応力を高めます。
  • SNSやEventBridgeを用いてエラー発生時に即時アラート通知できる体制を整えます。

まとめ

AWS CodePipelineを導入することで、スケーラブルかつセキュアなCI CDパイプラインを構築できます。CodeCommit GitHub S3などをソースに選び、柔軟なソース管理を実現できます。CodeBuildやJenkinsと連携し、ビルドとテストを完全自動化できます。ECS Lambda S3 CloudFormationといったAWSサービスへの自動デプロイにより、一貫性のあるリリースプロセスが可能になります。さらにBlue Greenデプロイや手動承認プロセスを組み合わせることで、より安全かつ高品質な本番リリースが実現可能です。

AWS CodePipelineの正しい理解と適切な活用により、継続的な開発と運用の効率化を確実に推進できるでしょう。

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