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AWS Identity and Access Management IAM完全ガイド

AWS Identity and Access Management IAMはAWSリソースへのアクセスを管理するための中心的なサービスです。本記事ではIAMの基本概念から具体的な設定方法セキュリティベストプラクティス他サービスとの統合事例まで詳細かつ超長文で解説します。IAMを正しく理解し実践することでAWS環境のセキュリティと運用効率が格段に向上します。

1 IAMとは何か

AWS IAMはユーザーグループロールポリシーを用いてAWSリソースへのアクセスを精密に制御できるサービスです。AWSアカウントのルートユーザーはすべてのリソースにフルアクセス可能ですが日常の運用ではIAMユーザーとIAMロールを活用して最小権限の原則を徹底する必要があります。IAMは単に認証認可を行うだけでなくセキュリティ監査や一元管理の基盤となり大規模なクラウド環境運用を支える要です。

2 IAMの基本構成と要素

2.1 IAMユーザー

IAMユーザーはAWSアカウント内で個別に認証情報を持つエンティティです。例えば開発者管理者アプリケーションがIAMユーザーとして登録されそれぞれにパスワードやアクセスキーが付与されます。ユーザーごとに必要最小限の権限を付与しMFA多要素認証を必ず有効化することが推奨されます。

2.2 IAMグループ

IAMグループは複数のIAMユーザーをまとめポリシーを一括適用できる単位です。例えば管理者グループAdminGroup開発者グループDevGroupなどを作成し共通のアクセスルールを効率よく管理します。これにより個々のユーザーに直接ポリシーを付与する煩雑さを回避できます。

2.3 IAMロール

IAMロールは特定のAWSリソースや外部ユーザーに一時的なアクセスを付与するためのエンティティです。EC2インスタンスやLambda関数が他のAWSサービスにアクセスする場合やAWSアカウント間でリソースを共有する場合にロールが用いられます。ロールは信頼ポリシーに基づきどのエンティティがそのロールを引き受け可能かを定義します。

2.4 IAMポリシー

IAMポリシーはJSON形式で記述されたアクセス許可ルールの集合です。ポリシーはユーザーグループロールにアタッチされ特定のアクションやリソースへの許可拒否を制御します。例えばS3の読み取り専用ポリシーやEC2インスタンス管理用のポリシーなど用途に応じて細かく設計されます。

3 IAMの詳細設定と実装手順

3.1 IAMユーザーの作成手順

  1. AWSマネジメントコンソールにサインイン
  2. IAMサービス画面へ移動しユーザーを追加を選択
  3. プログラムアクセスCLIやAPI用またはAWSマネジメントコンソールのアクセスを設定
  4. 既存のIAMグループに追加または新規作成
  5. 必要なポリシーをアタッチ例AmazonS3ReadOnlyAccess
  6. MFAを有効化しセキュリティを強化
  7. アクセスキーを生成CLIアクセス用に保存

3.2 IAMロールの作成手順CLI例

aws iam create-role \
  --role-name MyS3AccessRole \
  --assume-role-policy-document file://trust-policy.json

信頼ポリシーファイルtrust-policy.jsonは以下のように定義されます。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement": [
    {
      "Effect": "Allow",
      "Principal": {
        "Service": "ec2.amazonaws.com"
      },
      "Action": "sts:AssumeRole"
    }
  ]
}

3.3 IAMポリシー例

S3バケット内オブジェクトの読み取りを許可するポリシー例は以下です。

{
  "Version": "2012-10-17",
  "Statement": [
    {
      "Effect": "Allow",
      "Action": "s3:GetObject",
      "Resource": "arn:aws:s3:::my-bucket/*"
    }
  ]
}

4 IAMのセキュリティベストプラクティス

  • 最小権限の原則を徹底し不要な権限を付与しない
  • 管理者操作はIAMロールで実行しルートユーザーは使用しない
  • 全ユーザーにMFAを適用しアカウント乗っ取りリスクを低減
  • アクセスキーは定期的にローテーションし不要なキーは削除
  • ポリシー設計ではワイルドカードの使用を最小化し明示的に指定
  • CloudTrailでIAMアクションを監査し不審な操作を検知
  • AWS Organizationsを用いて複数アカウントの一元管理を実現
  • 一時的な認証情報STSを活用し長期間有効な認証情報は使用しない

5 IAMの運用管理例

5.1 アクセスキーのローテーションCLI例

aws iam update-access-key \
  --access-key-id AKIAxxxxxxxxxxxx \
  --status Inactive

5.2 IAMアクションの監査CloudTrail活用例

aws cloudtrail lookup-events \
  --lookup-attributes AttributeKey=EventName,AttributeValue=DeleteUser

6 IAMと他AWSサービスの連携

サービス統合内容
AWS OrganizationsアカウントごとのIAMポリシー一元管理
AWS Secrets ManagerIAMポリシーでシークレットのアクセス制御
AWS KMS暗号鍵へのアクセス管理
AWS CloudTrailIAMアクセスログの監査
AWS Security HubIAMのセキュリティベストプラクティス監視

7 IAMの設計と運用における注意点

IAM設計では組織のポリシー要件を正確に把握し将来の拡張性も見据えることが重要です。例えば個人単位でなく役割単位で権限を設計することでユーザーの入退社やチーム移動に伴うメンテナンスコストを低減できます。また実運用ではアクセス権限の棚卸し定期監査を実施し過剰な権限が付与されていないかを確認することが求められます。さらに外部委託先や第三者に一時的なアクセスを許可する際は期限付きのIAMロールを用い必要最小限の範囲にとどめることが必須です。

8 まとめと次のステップ

AWS IAMは単なるアクセス管理ツールではなくAWS環境全体のセキュリティと統制の基盤です。IAMの設計実装運用を適切に行うことで組織はより安全で効率的なクラウド運用を実現できます。この記事ではIAMの基本概念構成要素詳細設定セキュリティベストプラクティス運用例他サービス連携注意点を詳細に解説しました。次のステップとしてAWS Security HubやGuardDutyの活用方法を学びより高度なセキュリティ体制を構築していきましょう。

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