はじめに:最初の一歩が未来をつくる
バックエンドエンジニアという仕事に興味を持ち、学習を始めようとしている方にとって、「何から手を付ければいいのか」「どの言語を選べばいいのか」といった疑問は尽きないでしょう。
Webアプリケーションの裏側を支えるバックエンドの世界には、多くの技術と選択肢があります。しかし、はじめの一歩は誰にとっても共通です。「プログラミング言語を一つ選ぶこと」「実際に動くコードを書いてみること」「自分のコードを管理・共有する方法を覚えること」──この3つを順番にこなしていくことで、確かな成長を実感できます。
この記事では、バックエンドエンジニアを目指す初心者の方に向けて、開発の基礎となる以下のステップを丁寧に解説していきます。
• プログラミング言語の選び方
• 簡単なサーバーの作成
• GitとGitHubによるコード管理
それぞれの学習の意味や背景、実際の手順までしっかりと紹介しますので、ぜひじっくり読み進めてみてください。
プログラミング言語の選び方:最初の選択があなたの道を決める
バックエンドエンジニアとして最初に行うべき選択は、「どのプログラミング言語を学ぶか」です。世の中には数多くの言語があり、どれもそれぞれの特徴や得意分野を持っています。
初心者にとって重要なのは、「覚えやすくて、Web開発で実際に使われている言語」を選ぶことです。以下に代表的なバックエンド向け言語の特徴を紹介します。
Python
• 構文がシンプルで読みやすく、初心者に優しい
• 機械学習やデータ分析分野でも活用されており、将来性が高い
• Web開発にはDjangoやFlaskといったフレームワークが用いられる
「とにかくわかりやすい言語で始めたい」「将来的にはAIやデータ系にも関わりたい」という人には、Pythonが最適です。
JavaScript(Node.js)
• 本来はフロントエンドの言語だが、Node.jsによってサーバーサイド開発も可能に
• クライアントとサーバーの言語を統一できるメリットがある
• チャットアプリやリアルタイム通信に強い
フロントエンドにも興味がある方や、Web全体を一つの言語で理解したいという方にはJavaScript(Node.js)が良い選択です。
Go(Golang)
• シンプルで高速な処理が特徴。Googleが開発
• コンパイル言語でありながら記述は簡潔
• スケーラビリティが高く、大規模なシステム開発に向いている
パフォーマンスや効率を重視したい人、インフラ寄りの開発に関心がある人におすすめです。
Ruby
• Web開発向けフレームワーク「Ruby on Rails」が非常に有名
• 少ないコードで多くのことができ、生産性が高い
• 初心者でも「作る喜び」を早く実感できる
実際に動くアプリをいち早く作ってみたいという方には、Ruby on Railsからスタートするのも有効です。
サーバーの作成:実際に動くものを作ることで理解が深まる
バックエンド開発の学習において、ただ理論を学ぶだけでは理解は深まりません。「実際に動くものを自分で作ること」が何よりの学習になります。そのための第一歩として、簡単なHTTPサーバーの作成に挑戦しましょう。
ここではPythonを例に取り、超シンプルなWebサーバーを作ってみます。
ステップ1:Pythonのインストール
MacやLinuxではデフォルトで入っていることが多いですが、Windowsの場合は公式サイトからインストールしてください。
https://www.python.org/
インストール後、python --version で動作確認しておきましょう。
ステップ2:「Hello World」を返すHTTPサーバーを作成
以下のコードをserver.pyという名前で保存します。
from http.server import HTTPServer, SimpleHTTPRequestHandler
server_address = ('', 8000)
httpd = HTTPServer(server_address, SimpleHTTPRequestHandler)
httpd.serve_forever()
ステップ3:サーバーを起動してブラウザで確認
python server.py
起動後、ブラウザで http://localhost:8000 にアクセスすると、ローカルのファイルが表示されます。これがHTTPサーバーの基本的な仕組みです。
ここでの学び
• クライアント(ブラウザ)とサーバー(Pythonプログラム)のやり取り
• ポート番号の概念
• サーバーの起動と停止の方法
こうした体験を通じて、バックエンド開発における「サーバーとは何か」が感覚として身についていきます。
GitとGitHubの使い方:コードを安全に管理・共有するための基礎
学習を進めていくと、複数のファイルを扱うようになり、何度もコードを書き直すことになります。このときに重要なのがバージョン管理です。
Gitとは?
Gitは、ソースコードの変更履歴を記録・管理するためのツールです。一言でいえば「コードのタイムマシン」です。
• いつ、どんな変更を加えたかを記録できる
• 失敗したときに過去の状態に戻せる
• チーム開発でのコードの共有がスムーズになる
GitHubとは?
GitHubは、Gitの機能をベースにしたクラウド型のリポジトリホスティングサービスです。
• 自分のコードをネット上に保存・公開できる
• 他人のプロジェクトに参加(プルリク)できる
• プロジェクト管理やバグ報告、ドキュメントの共有も可能
最低限覚えておきたいGit操作
# Gitリポジトリの初期化
git init
# ファイルの変更を登録
git add .
# 変更内容をコミット(記録)
git commit -m "初回コミット"
# GitHub上のリポジトリを追加
git remote add origin https://github.com/ユーザー名/リポジトリ名.git
# コードをGitHubに送信
git push -u origin main
実際にGitHubに自分のプロジェクトをアップしてみると、「自分も開発者の仲間入りをしたんだ」という実感が湧いてくるはずです。
学習の流れ:ステップバイステップでスキルを積み上げよう
初心者が効率よくバックエンドの基礎を身につけていくためには、以下のような学習ステップが効果的です。
1. プログラミング言語を1つ選び、構文や基本文法を学ぶ
2. 選んだ言語で簡単なHTTPサーバーを作成してみる
3. Gitを使ってコードの履歴管理を始める
4. GitHubを活用してコードを公開し、他者と共有する体験を積む
これらの学習を通じて、「書く」「動かす」「管理する」という開発の基本サイクルを自然と身につけることができます。
これが、バックエンドエンジニアとしての第一歩です。学びの道のりは決して短くはありませんが、最初のステップを丁寧に踏みしめることで、確実に前に進むことができます。自分の手で何かを作り、それを世の中に届ける。その面白さを、ぜひこの学習の中で感じてください。